莫大な静電気の集合体として考えられる雷は極めて強大な電気エネルギーを内包しており、雷の電気の大きさを電圧に換算すればおよそ1億ボルトとされています。
一般の家庭用の電気コンセントが100ボルトの電圧を供給しているので、1億ボルトはその100万倍に相当する電圧です。
1億ボルトの電気エネルギーがどの程度のものであるのかイメージするために、身近な電化製品や電力消費に換算して考えて見ましょう。
前述したように、家庭用の電気コンセント(100V)と比較すると、その電圧の強さは100万倍です。また、単三電池(1.5V)に換算すれば6667万個という膨大な数を直列に並べた時と同等になります。
その他、雷の温度は「3万度」とも言われており、太陽の表面温度が約6千度であることを考慮すると、地上を温めている太陽よりおよそ4~5倍も高い熱エネルギーを有していると考えることもできそうです。
雷雲の中に存在している雷の電圧は1億ボルトとされていますが、実は落雷として放電現象を伴った際の瞬間的な電圧はさらに大きく、10億ボルト級に到達したという測定結果も報告されています。
そのため落雷による被害が甚大になることも当然と言えるでしょう。
※参照元:日本経済新聞「10億ボルト超に達する雷雲の電圧 新手法で解明」(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44823730V10C19A5000000/)
1億ボルトや10億ボルトという途方もない高電圧の雷や落雷ですが、それを電気エネルギーとして活用することはできないのでしょうか。
残念ながら、雷は雲から放たれた瞬間にエネルギーが落雷現象として光や熱、音などに変換されて空気中に拡散するため、現時点でエネルギー源として活用する技術は実用化されていません。
蓄電池などに貯蔵して利用することの難しい落雷ですが、その膨大な威力はすさまじく、瞬間的なエネルギーであっても人体に様々な被害や影響を及ぼします。
心肺停止の患者に電気ショックを与えて心臓を再稼働させるという映像は様々な映画やドラマでも描かれていますが、落雷による電気エネルギーの直撃を食らうと、その衝撃で人間の心肺が停止して死亡するリスクがあります。
心臓が止まらなくても落雷による衝撃はすさまじく、落雷に当たった瞬間に人間の意識も喪失されるといった意識障害を引き起こすでしょう。
人間が落雷に見舞われると、瞬間的に皮膚表面を通って体中へ電気が走ります。この際、電気は人体の抵抗を受けて熱を発生させ、電気の流れた部分に深い熱傷を引き起こすことが重要です。なお、落雷による熱傷は独特の跡を残すことが知られており、その樹状図形は「リヒテンベルク図形」と呼ばれます。
落雷の音と衝撃で鼓膜が破れたり穴が空いたりすることも考えられるでしょう。
その他にも着用している衣服が燃えたり、後々まで脳機能に障害が残ったりと様々な症状や影響が懸念されます。