雷被害といっても実際に体験しなければ危機感を持たない方は多いのではないでしょうか。しかしながら事前に落雷に関する知識を知りながら対策を考えておくことは大切です。ここでは雷の季節的な特徴や月別の発生件数を紹介します。
雷の発生は気象庁が把握している「雷監視システム」による検知データから情報収集・集計がされています。全国における放電数を日別で集計し、月毎の平均値を求めて算出されるデータが紹介されています。「1日の放電数の月平均値(2007年)」というデータを見ると、最もピークを迎えているのは夏場、特に8月となっています。「対地放電」「雲放電」の個数、並びに「雲放電/対地放電」の比率という3項目にわたってグラフ化されたデータが存在しますが、発生個数についてはどちらも同じような推移・変動をしている状況です。秋口から冬にかけては数字もかなり落ち着きを示しており、2月ごろには年間のうち最低件数の推移が見られるようになっています。
対地放電と雲放電の比率についても季節により割合が変わっており、冬場はおおむね1対1と同じような割合で発生しているものの、夏場になると対地放電が1に対して雲放電が5前後と雲放電の割合が大きくなる傾向にあります。
また、季節性に加えて地域的な特徴も少し紹介します。雷自体は季節を問わず発生するものではありますが、夏場は関東や中部・近畿地方など広い範囲で多数の雷が検知されており、年間における総検知数の大部分を占めているような状況です。一方で冬場は日本海沿岸における雷の発生が多くなる傾向にあり、相対的に検知数が多くなっているという状況です。
参考:気象庁HP(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder1-3.html)
発生頻度が多く、雷雲の高さが3,000m~5,000mと高いのが夏季雷の特徴です。一度発生すると2~3日続くことが多く、発生しやすい時間帯は午後から夕方にかけて。大気の状態が不安定な時に発生しやすくなっています。地表面と上空との温度差が発生のきっかけになるため気温が上がりやすい内陸や山沿いで発生しやすく、よく見られる地域は北関東・中部山岳・奈良盆地・北九州・南九州地方。雷のエネルギーは約400キロワット(一般家庭の約1.5ヶ月分の使用電力量)になると言われています。
真夏の強い日差しによって地表が暖められると、地表面と上空の温度差で強い上昇気流が生まれます。水蒸気を含んだ空気が上昇気流にのって上空へ届き、積乱雲を形成。空気の移動速度や空気中の水蒸気量といった条件が整うと、雷が発生します。特に山の斜面は太陽の光が当たりやすく、気温の低い山頂との気温差が大きくなるため入道雲が形成されやすい特徴があります。山岳部で発生した雷雲が発達しながら内陸部に移動し、海岸部近くで消失するのがよくあるパターンです。
放電時間が長く、放電エネルギーが大きいのが冬季雷の特徴です。雷雲の高さは300m~500mと低く、夏季雷よりも雷の規模は小さめですが、その放電エネルギーの大きさは夏季雷の10~100倍になると言われているほど。発生の頻度としては少なめですが、夏のように発生しやすい時間帯や発生を予測しやすい要素がなく、前触れなく突然発生することもあります。寒い時期の雷は世界的にも珍しく、観測されているのは日本の日本海沿岸、ノルウェー西岸、アメリカ5大湖といった限られた地域だけです。
大陸から流れてくる冬の冷たい季節風が対馬暖流に暖められ、風に含まれていた水蒸気が日本海上に雲を形成。これが季節風に流され平野部に上陸し、条件が重なると雷を発生させます。標高100m~1,000mあたりで雷鳴・落雷が起こり、その後太平洋側に乾燥した風だけが吹き抜けるのが特徴です。日本海側で雪や雷を発生させた雲は勢力が弱まっていき、山にぶつかって小さくなっていくため、雷雲が太平洋側にまで届くことはほとんどありません。冬季雷は上空が冷え過ぎると発生しにくくなる傾向がありますが、近年の温暖化の影響によって上空の気温が下がりきらず年々増加傾向にあります。
落雷は怖いというイメージがありますが、危機感を持ったり具体的な対策をするのは実際に被害に合ってみなければなかなか意識を持てないのが多くの方の現実だと思います。それでは実際に落雷の被害件数はどのようになっているでしょうか。
気象庁の調査によると、2005年から2017年にかけての12年間において報告が確認された落雷被害は1,540件となっており、1年あたり128件という結果です。このうち約30%が8月に集中していることから、前述の季節性もうかがえます。
参考:気象庁HP(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder1-4.html)